Vol. 2 人の行く裏道に穴馬券あり
競馬新聞の成績欄で、まず目に入るのは前走のレース名と着順でしょう。騎手・斤量、コース・距離、勝ち馬(自身が勝っていれば2着馬)との着差もチェック。近況(1~5走前)を知り、別欄にあるコースや距離の実績を見て適性を判断。他にも、調教の内容や当日の体調、枠順、展開、今回の騎乗騎手・斤量、馬場状態、他馬との力関係……。出走各馬が馬券(1~3着)になるかどうかを決める材料は、10項目程度ではとても足りません。
どの項目の検討も大切。とはいえ、競馬に詳しくない初心者の方にとっては面倒くさい作業ですよね。そこで、ついつい◎○▲△の予想印に頼ったリ、「人気薄が絡んで万馬券がいいな」と考えてオッズ(払い戻し倍率)とニラメッコしたり。
もちろん、我々専門業者も人気を重視しますが、予想紙を作っている人間ですから、見る角度が少し違うかもしれません。
過去の人気。馬の性能と直接関係ありませんが、私は準備用の資料に蛍光ペンでマーク。これだけを見て、穴馬券に結びつくことがあるのです。
現役馬に好例がいます。ダンスファンタジア。11月までに今年は8回走って2着が3回あり、12番人気、10番人気、11番人気。複勝(3着までなら的中)は840円、630円、540円。馬連(1、2着の組み合わせを当てる)は29070円、4830円、7600円。3年前に重賞を勝ったこともある馬で、決して弱いわけではありません。いろいろな要素が重なって、能力が高いのに人気を集めにくく、好走すると配当妙味の繰り返し。ある意味、今年屈指のお宝馬でした。
3年前のダービー馬であるエイシンフラッシュも、今年10月までに通算26回走って1番人気は3回だけ。GⅠレース2勝は、7番人気と5番人気。6勝して3着以内が16回ありますから、馬券に絡むわりに中心人気にならないタイプと言えます。
1頭ずつ検討して“ヨコの比較”でレースを推理するのが通常の手法ですが、それは誰もがやること。裏道は各馬の“タテの比較”です。ダンスファンタジアほど極端な馬は珍しくても、何回好走しても上位人気馬にならない傾向の馬は結構います。成績欄の人気と着順の並びをよ~く見て、ピンと来た馬がいたら狙ってみてください。高配当ゲットへの近道です。
田所 直喜(たどころ・なおき)
1964年(昭和39年)6月10日生まれ。東京都国分寺市出身、妻と2人暮らしで今も在住。
海城学園は高校の3年間で、1983年(昭和58年)卒業。1年の担任は長島先生。2~3年は文Bコースで河原先生。
東京学芸大学教育学部国語科を卒業と同時に、1989年(平成元年)、(株)日刊競馬新聞社入社。以来、中央競馬担当の編集記者として活動。
現在、編集部中央課課長、採用担当責任者。