Vol.6 春の中山
現在、JRAの関東開催は中山競馬場です。年末に行われる有馬記念は、競馬に関心のない方もご存知でしょう。春一番の大レースは伝統の3歳クラシック、皐月賞。開催最終日の4月20日(日)、芝2000mです。
2月の大雪の影響が大きく、今季の中山芝は例年に比べて時計が遅くなっているのが特徴。まだ状態のいい開催2週目の3月8日(土)、メインレースは重賞のオーシャンステークスでしたが、芝1200mの良馬場で勝ちタイムは1分8秒9でした。最内枠のスマートオリオンがコースロスなく回って、例年(良馬場)より0秒5程度遅い決着。2着に入ったスノードラゴンは芝で勝ったことがない馬です。
3月21日(金)に行われた3歳牝馬重賞のフラワーカップは勝ちタイム1分51秒3。良馬場の中山で行われた過去17回の中で最も遅い時計。近年、芝の改良が進んでいることを考えると、特殊な状況といえます。
春の中山は8週間連続(今年の日程は3月1日から4月20日まで)。毎週末に行われるロングラン開催です。そのため芝が傷みすぎないように、開催途中でコース内側の柵を外側に移動します。芝コースの基本はイン有利で各馬とも内を走るため、結果、内側が最初に傷み始めます。そこで柵を外に移動すると、荒れた最内が保護され、少し外側がインコースになるという仕掛けです。
しかし、今季の競馬を見ていると、柵を移動した程度では大きな変化はない可能性が大です。特に3〜4コーナーは傷み具合が激しく、直線に入る手前で加速しにくい状態。上がりタイム(後半600m)が速くならない馬場で、前半で落ち着いたペースになっても切れ味勝負になりません。
芝コースの傾向は明らかです。雨が降っても降らなくても、人気になっていない馬で「パワーはあるけど、瞬発力は今ひとつ」「ちょっとスピード不足かな」というタイプを狙ってください。この原稿を書いている最中にも、芝1600mの持ち時計が16頭中9番目のサトノネプチューンが8番人気で2着に食い込みました(3月23日、中山10R)。
3月29日(土)から後半戦に突入。8日間、開催が残っています。同じ状況がこれだけ長続きするのは珍しいだけに、パワー型徹底重視は有効な戦法だと思います。
田所 直喜(たどころ・なおき)
1964年(昭和39年)6月10日生まれ。東京都国分寺市出身、妻と2人暮らしで今も在住。
海城学園は高校の3年間で、1983年(昭和58年)卒業。1年の担任は長島先生。2~3年は文Bコースで河原先生。
東京学芸大学教育学部国語科を卒業と同時に、1989年(平成元年)、(株)日刊競馬新聞社入社。以来、中央競馬担当の編集記者として活動。
現在、編集部中央課課長、採用担当責任者。