Vol.2 人は興奮に対価を払う 

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 撮影中に実際に口に出すことはまずありませんが、グラビアアイドルは「自分の写真で男性を興奮させる」のが仕事です。種目は違えど、プロレスラーが試合を見た観客を興奮させるのが仕事なのと同じでしょう。

 たまに、

「女性に共感を持ってもらえるようなグラビアを目指す」

とか言う娘がいますが、それが許されるのは今で言えばAKBか、売れている女優さんが“自己表現の一つ”とか言ってやるグラビアぐらいです。すでに多くのファンを掴んでいる人がやることであれば、世のニーズがあり仕事として成立しますが、それ以外の99%のグラビアアイドルには、

「男性が興奮する表情や衣装、ポージング」

が必要になってきます。そこにきれいごとや芸術性はいりません。

 前置きが長くなりましたが、上の3枚の写真を見ていただきましょうか。同じアイドルをほぼ同じ瞬間に写した3枚の写真ですが、カメラのアングルが違うだけでまったく別のグラビア写真です。

 1番左の写真は、アイドルの娘が最も喜ぶアングルです。単純に顔の比率が大きいので。しかし、世の男性はこれだけでは興奮できません。

 2番目が、最もよく目にするアングルではないでしょうか。いわゆる「全身写真」。撮る側と、取られる側のバランスがとれます。

 3番目は、アイドル側としては良い顔をしませんが、男性の欲望を全面的に満たしてくれる写真です。同系統で、胸や口だけに寄ったパターンもあります。

 

 今回のタイトルに書いたこと。人はお金を払ってジェットコースターに乗ります。しかし、人は同じ程度の興奮には慣れてきてしまい、次はもっと強い刺激を求めます。富士急ハイランドで満足できなくなったジェットコースター好きの人は、次にどこへ行っているのでしょうか?

 さあ、3番目の写真でも満足できなくなったときに男性読者はどうするか? もうそこに、グラビアアイドルのできることは無いのかもしれません。


松下 憲一(まつした・けんいち)

1979年(昭和54年)5月26日生まれ。東京都板橋区出身。現在は妻と長男と次男と中野区在住。

海城学園には中学~高校と6年間在学。部活は野球部に同じく6年間在籍。最後の試合で神宮球場のマウンドで投げられたことは一生の思い出です。

早稲田大学人間科学部を卒業後、(株)日本文芸社という出版社に入社。「週刊漫画ゴラク」をはじめとする漫画雑誌や書籍などを出版している。

入社当初は書籍編集者として勤務。現在はデジタル部門の部署に異動し、ホームページ関連の編集・制作を担当しています。