Vol.1 消費税

 来年4月から消費税が8%に引き上げられるーと誰しも思っているのに安倍首相は秋に上げるか据え置くか最終決定するとなんだか気を持たせた言い方をしている。そこに乗って一部では据え置きの可能性を期待する声もあるようだが、どうもこれは政権政府のメディア戦略、やらせ劇に思えてならない。

 先の参議院選挙の争点が「決められる政治はねじれ解消」といった自民党の戦略にはまったのと同じで、いまメディアはもっぱら消費税上げそのものの是非を掘り返すよりはその実施時期、効果などを分析する特集や解説に向かっている。結果消費税上げは必要であり何としても実施するべきだという流れを作っているように見える。

 もともと天下国家を論ずるメディアには国家の財政破たんを招かないためには消費税上げはやむを得ないとの考えがある。それゆえに消費税全面否定の論調はとりにくいのだが、問題は消費税しかないのかということだろう。ほんの少し実施時期をずらすとかずらさないかというのは大きな問題ではない。消費税上げは財務省と組んだ自民政権のいわば悲願みたいなもの。というか戦後の国家体制をそのまま維持して行くための既定の路線の延長線上にある一番簡単な選択肢だろう。今問われるのはそれで良いのかということのようにおもうのだが。


小西洋也(こにし・ひろや)

1947(昭和22)年生まれ。東京都出身。

1966(昭和41)年、海城高校卒。

1970(昭和45)年上智大学卒、日経新聞記者。その後テレビ東京、BSジャパンで報道に携わる。

現在は自由業。海原会副会長、海原メディア会会長。