Vol.14 「外国人騎手」

 2月16日(月)、東京都港区にあるJRA(日本中央競馬会)六本木事務所で新規騎手の記者会見が行われました

 今年の目玉は、外国人騎手。フランス国籍のクリストフ・ルメール騎手(35歳)、イタリア国籍のミルコ・デムーロ騎手(36歳)。2人とも世界各地で大レースを数多く勝っていて、すでに国際的名手です。

 日本でも長期間に渡って実績十分。黒のスーツ、クリストフ・ルメール騎手は今から10年前、有馬記念でハーツクライに騎乗。無敗のディープインパクトに土をつけた一戦は今でも語り草です。JRAのGレース通算5勝。

 
 

 グレーのスーツ、ミルコ・デムーロ騎手は2003年にネオユニヴァースで日本ダービーを勝つなど、JRAのGを10勝しています。やはり日本でおなじみクリスチャン・デムーロ騎手(22歳)は、年の離れた実の弟です。

 
 
 

 外国人騎手2人の日本での騎乗は、これまで「短期免許」という制度によるものがほとんどでした。短期ですから、年間で最長3ヵ月。また、同時に登録できるJRA短期免許騎手は5名までで、場合によっては空きがないことがあります。前出のクリスチャン・デムーロ騎手も、短期免許取得での騎乗。

 
 

 「日本の競馬はすばらしい」「日本の馬で海外の大レースを勝ちたい」と語る2人。競馬ファンにとっては頼もしい味方です。母国語ではない英語の筆記試験、日本語による口頭試験を突破してのJRA新規免許取得。家族を日本に呼び寄せて、意欲は満々です。もちろん腕は超一流。常に日本で騎乗するようになれば、2人とも年間100勝程度は勝てるはずです。Gでのワンツーフィニッシュも見られることでしょう。

 しかし、ということは年間で100レース以上、日本人騎手の勝ち鞍が減ることを意味します。優勝劣敗の世界とはいえ、厳しいですね。この日、同時に騎手免許を交付された4人の新人騎手(17〜18歳)は、手ごわいを通り越して雲の上の2人が“同期生”となりました。いずれGレースで両騎手と顔を合わせることができるかどうか、とにかく努力してほしいと思います。

 JRA通年所属騎手としての初日は3月1日(日)になります。クリストフ・ルメール、ミルコ・デムーロ騎手の騎乗予定は阪神競馬場。当日の重賞は阪急杯(G)で、ともに騎乗依頼を受けるのはほぼ間違いありません。どちらかが勝って、日本語でインタビューも……。ぜひご注目ください。


田所 直喜(たどころ・なおき)

1964年(昭和39年)6月10日生まれ。東京都国分寺市出身、妻と2人暮らしで今も在住。

海城学園は高校の3年間で、1983年(昭和58年)卒業。1年の担任は長島先生。2~3年は文Bコースで河原先生。

東京学芸大学教育学部国語科を卒業と同時に、1989年(平成元年)、(株)日刊競馬新聞社入社。以来、中央競馬担当の編集記者として活動。

現在、編集部中央課課長、採用担当責任者。